第1回

学芸員というお仕事

ー中原さんが学芸員を志したきっかけは、なんだったんでしょう?ー

 

10歳年の離れた兄がいて、

兄が絵を描いている所を見るのが

子どもの頃とても好きだったんですよ。

兄の背中ごしから見るまっ白なキャンバスからはじまるあの光景、

一本の線が引かれ、色が塗られ、かたちができあがっていく、

それ見てるとね、多分、次、こう描くだろうな、

とか思う訳ですよ。

で、その通りだったりするんです。

あ、いいな、と思ったり、

それ、そうじゃないほうがいいのに、と思ったり、

先読みしたりするんです。

で、兄は子どもの僕に聞くんです。『どう?』って。

で、僕はわからないなりに

「前のほうがいいよ」とか

言っちゃってた訳です。

すると、

兄は「それじゃぁ30分後に来い」と言ってカギを閉める。

 

そして、30分後また行くと「どう?」と。

で、「よくなっていると思う」と言うと

「だろう?」とにやりとして。

そんなやりとりを頻繁にしながら幼少期を過ごしました。

そこから美術との出会いがはじまっていますから、

なんとなく作品を見る自信みたいなのも

できあがっていったんだと思います。

それで、高校3年生の時、

美術史の勉強をするのも悪くないな、と思って

学芸員を志すことになりました。

ーそもそも、世間一般の学芸員とはどんなお仕事なんでしょうか?ー

 

美術史を勉強して、

その研究をベースに展覧会を開く仕事

というイメージですかね。

現代美術などのようなジャンルでは

新しい価値観を見いだしていく、

というタイプの方もおられます。

僕は大学生の最初の頃からあまり、

ひとつのことを研究するというのに興味が持てなかったんです。

「中原君の専門ってなに?」と

よく聞かれる訳ですよ。今でも。

そしたら、いつも上手に答えられない訳です。

専門?って思っちゃうんです。

普通は「イタリア・ルネサンスの専門です」とか

「印象派のこの部分やってます」とかね

その専門以外のことに関しては

あまりアプローチできない風潮に

学生になった最初から

違和感があって。これはすごいコンプレックスでもあり、

学芸員という仕事は僕には向いてないんだろうなと

すごく悩んでいたんですけど、

今やらせて頂いている仕事は

それこそ、自分なりにできることなんだろうなと

思っています。

一般的な学芸員とはちょっと違うところもあるかも知れませんが

僕にとっての学芸員の仕事というのは

こんな感じなのです。

「楽園としての芸術展」は

これまで意識してきたことを

はっきりと示してくれたというか、

お前のやりたかったことはこうだろ?って

作品から教えて頂いた感じです。

今回、自分の存在を肯定して頂きました。

こういうことをやりたかったんだと

今更ながら実感しています。

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「楽園としての芸術」展

 

会期:2014年7月26日(土) ~ 10月8日(水)

 

会場:東京都美術館(上野) ギャラリーA・B・C

 

主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)

後援:朝日新聞社

協力:レモン画翠、ターナー色彩株式会社

 

合同会社 エレマンの気まぐれ商店

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