第5回

どのくらいの人がわかっているのか?

 

――お客さんの反応は、具体的にどんなものだったのでしょう?――

 

会場でとっていたアンケートをみると、

今までの企画展とはコメントのニュアンスが異なる印象を受けました。

ご自分の人生について言及されているものがあったり、

偶然入って、心身の疲れがいっぺんに飛んだとか、

今までみた展覧会でベストワンと書かれているものもありました。

 

会期の後半は、佐久間さんが会場に詰めておられる日も多く、

来場者の方々といろいろお話をされていました。

佐久間さんからお聞きしたところによると、

泣きながら話しかけてこられた方が大勢いらしたということです。

僕はそのような場面に全然出くわしていないのですが、

観賞しながら、号泣されていた方もいらしたそうです。

 

 

――何故そんなに泣く方がいたのでしょう?――

 

理由は、お一人お一人違うと思いますけれども、

作品に則していえば、あんなに衒いのない表現は

世の中になかなかないわけで、

迷いのない筆勢や透明感あふれる色の明るさに

胸を衝かれるというか、

ショックを受けた方が、

少なからずいらしたということではないでしょうか。

 

 

 

 

――8月の第1週の7日間と9月9日の公開制作でも、

様子を熱心にご覧になられる方々がいましたね――

 

とりわけ9月9日の公開制作は、

ステージ上が完全に「特別な空間」になっていました。

あの日は2時間半、制作の様子を

ビデオで撮影していたのですが、

つくり手と佐久間さんのやり取りが美しくて

みていて惚れ惚れしました。

制作のプロセスについては、

9月15日の記念講演会で、佐久間さんから貴重なお話の数々をうかがいました。

それを今、東京都美術館の『紀要』第21号にまとめています。

興味のある方は、ぜひお読みいただければと思います。

2015年4月以降、当館のウェブサイトに全文をアップします。

サイト画面の「アーカイヴズ」「出版物」のところを

クリックしてみてください。

――24,837人の入場者があったということですが、

どのくらいの人が作品を深く理解されていたと思いますか?――

 

それはわかりません。

理解ということの意味も、

人ぞれぞれで違うでしょうし。

展覧会を仕立てる側の「思い」はいろいろあります。

しかしオープンしてしまえば、

佐久間さんがおっしゃられているとおり、

展覧会はみる人のものとなります。

人の数と同じだけの出会いと味わいがある。

それはどの展覧会にも言えることです。

 

今回の展覧会は、すでに知られている作品を

わかりやすく構成する、

という類のものではありませんでした。

表現そのもの――それはダウン症など障害をもつ方の

ゆたかな感性の賜物であるわけですが――と

ダイレクトに向き合えるものにしたかった。

そのため、いわゆる解説の類も

ほとんどつくりませんでした。

 

そのかわり、

制作の現場をいつもみておられるスタッフの方々の

文章をパネルにして出しました。

佐藤肇さんと佐久間さんが以前に書かれた文章は

平易でありながら、

ダウン症の人たちがもつ感性の豊かさを

正確にお伝えするものだったと思います。

アンケートにもそのような感想がたくさんありました。

 

ダウン症の方々による「表現と自由」については、

佐久間さんが記念講演会で詳しくお話してくださっています。

講演会録をお読みいただければ、

にわかに視界が開けていくかのような

理解のさらなる深まりがあると思います。

 

『楽園としての芸術』展

 

会期:2014年7月26日(土) ~ 10月8日(水)

 

会場:東京都美術館(上野) ギャラリーA・B・C

 

主催:東京都美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)

後援:朝日新聞社

協力:レモン画翠、ターナー色彩株式会社

展覧会に関すること:東京都美術館 事業係 TEL:03-3823-6921

取材・広報に関すること:東京都美術館 広報担当 TEL:03-3823-6921

 

合同会社 エレマンの気まぐれ商店

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